フルオーダー「ばんでんのいえ」お客様インタビュー家族がゆるくつながる、理想の住まいが実現。リアルな生活を見据えた提案に、信頼感を持つことができた。

フルオーダー「ばんでんのいえ」お客様インタビュー  2021年8月1日


家族がゆるくつながる、理想の住まいが実現。
リアルな生活を見据えた提案に、

信頼感を持つことができた。

Q.当事務所にご相談いただいたきっかけを教えてください。

4年前にあわら市に引っ越してきて、家を建てようと思いハウスメーカーや工務店へ相談に行きましたが、そこでの話が今一つピンとこなかったんです。専門家らしいアドバイスや提案がなく、不安を感じました。建築の素人である僕たちの要望だけを汲み取り進んで行っていいのかと。そこで、義父に「いい設計士さんはいませんか?」と聞いたところ、義父の同僚で、大学の建築科の先生が伊藤さんのことを教えてくださったので、早速ご連絡させていただきました。

Q.ご依頼いただくことになった決め手はどんなことでしたか?

2つありまして、最初に衝撃を受けたのは床材のアドバイスでした。カフェのような雰囲気の家を思い描いていたので、「床はウォールナットのように落ち着いた色のイメージでいます」と伝えたところ、「日照時間が少ない福井の気候を考えると、床が暗いと家全体が暗くなり、気持ちも暗くなりますよ」と見事に否定されました(笑)。僕らが雰囲気でしか考えていなかったところを、現実の生活に落とし込んでご提案いただけたので、この方なら信頼できると思いました。

Q.床は「カフェのような・・・」という思いを汲み取りながらも、ウォールナットよりも明るい色のナラを使いましたね。もう一つは何でしょう?

もう一つは、当初考えていたスキップフロアをやめて、土間とリビングに段差をつけたことです。スキップフロアがほしいと話したら、「なぜですか?」って突っ込まれ(笑)、ほしい理由を深掘りしてくださいました。その結果、「それは、同じ空間の中に雰囲気が違うエリアがほしいということですね」というところに行きつき、土間とリビングに段差を設ける提案をいただきました。この2つが大きな決め手でしたね。


常に僕たちの目線に立ちながら
細かい調整にも対応してくれた。

Q.設計を進めて行く中で、印象に残っていることはありますか?

30畳の広いリビングがほしいけれど、全体の予算から考えると難しいと思っていた中で、土間とリビングの間をカーテンで仕切るという選択肢を示していただいたことです。壁と扉を設ける予定だったのをカーテンに変えたことで、リビングと土間で30畳の空間を実現することができました。

Q.他にも途中変更がありましたね。

ええ、気に入った棚とテーブルを先に購入してしまい、それをダイニングに置くために、北側に設ける予定だった窓を壁に変更しました。これに伴いキッチンの棚の高さを変えたり、ライトの位置を変えたりしていただきました。後日、棚とテーブルを納品にきた家具屋さんが驚くほど棚の収まりが良くて、細かく調整していただいたおかげです。

Q.施工中に印象に残っていることはありますか?

柱に使う木を、僕らが選ぶ前に、節が多いものなどを除いてくださったとお聞きして驚きました。こんなことまでやってもらえるんだと。それから、扉の突き板を取り寄せるとき、木目が自然な感じになるよう、突き板の貼り方を業者さんに掛け合ってくださったのもすごいなと思いました。とにかく何度も相談させていただき、さらに進捗状況をチェックしてくださったので、とても安心感がありました。

Q.僕らとしては当たり前のことなので、今のお話しに僕の方が驚いています。

設計して終わりではなく、工事される方と僕たちの間に入って、僕たち目線でさまざまな調整やアドバイスをしていただけたので本当に助かりました。

目的を決め過ぎない柔軟な空間が
暮らす楽しさを広げている。

Q.家の中でお気に入りの場所や使い方はありますか?

僕はダイニングテーブルに座って庭を眺める時間が好きですね。季節によって景色が変化し、冬になってケヤキの葉っぱが落ち、向こうまで風景が抜けて見えるのもいいものです。彼女は、最近2階に設けた図書室がお気に入りのようです。

Q.新しい使い方を始められたのですね。

そうなんです。子どもが2人いるので、2階に2つに仕切れる子ども部屋を作ったんですけど、今のところ子ども用は一つでいいので、もう一つの空間にみんなの本を集めて図書室にしました。将来使うだろうという曖昧な場所だったんですが、今年春頃にテレワークのためのスペースを設け本棚を置いてから、積極的に使いたい場所になりました。庭を見下ろしながら本を読んだり仕事をしたりできる贅沢な空間です。

Q.うちの設計は目的や用途を決めて作り込むのではなく、柔軟性を持たせているところがあります。そのコンセプトをうまく使いこなしてくださっていてうれしいですね。

ありがとうございます。子どもが大きくなると、子ども部屋が荷物を置くだけの部屋になっているという話をよく聞きますけど、それは避けたいと思っているので、子どもたちがいなくなったら僕らの部屋にしようと話しています。

Q.1階の土間はどうですか。2階のように想定外の使い方もされていますか?

最初は、居場所の一つになればと思い椅子だけ置いていたんですが、子どもがここで勉強したいというので、机を置くなど模様替えをしました。フローリングと違って傷や汚れを気にせずに工作したり絵を描いたりできるのがいいですね。子どもが大きくなって使わなくなったら、ソファーを置き、薪ストーブを入れてくつろげるスペースにしょうと思っています。

その時々の心地よい居場所で、ゆるくつながっています。
顔合わせから完成まで、家づくりを楽しみました。

Q.住まわれての感想をお聞かせください。

改めてうちのコンセプトってなんだろうと考え、それは「ゆるくつながる空間」だと思いました。例えば2階に一人でいるときは一人の時間でもあるけど、1階にいる家族の気配も感じている。カーテンの向こうにいても、何をしているか雰囲気はふんわりとわかる。そういうふうに家族がゆるくつながっている1LDKの家だなと感じています。本当に一人切りで、他の人間の気配がわからなかったら不安だと思うんです。気配が感じられるから一人時間に集中できる。人間が安心かつ心地よいと感じる他者との関係性が自然に取れる家にしていただけたと実感しています。

Q.うちの基本理念は「たのしいけんちくを、もっと」なんです。それは、いろいろなつながりを作り、そのつながりで人間が元来持っている楽しさを感じられる環境を提案したいということなので、今のお話しは非常にうれしいですね。他にもゆるくつながっていると感じる場面はありますか?

例えばキッチンは、子どもと話をしたりしながら料理ができるスタイルにしたのですが、これによって子どもたちが自分から家事を手伝うようになり、キッチンも彼らの居場所になっています。階段に座って本を読んだり、土間の段差で宿題をしたり、全てが居場所となって、どこにいても互いの存在を感じながらゆるくつながっているなと思っています。

Q.先程お話しした、柔軟性を持たせた作り方が生かされていることがますますわかりました。最後に、完成までを振り返って、家を建てるときに大切だと思われることをお聞かせください。

設計が決まってもやはり変更は出てくるものです。そういうとき、「こうしたいんですけど」という相談やお願いを気軽にできることが最も大事だと思います。たびたびの変更に快く応じてくださり、僕らが気づかない細かい提案もしてくださったので、今振り返ってみても後悔することが何もないんです。それぞれの業者さんも一つひとつ丁寧に作業を進めてくださいました。だから安心してお任せすることができ、思いどおりの家、これからの暮らしがもっと楽しみになる家を建てることができました。伊藤さんに初めてお会いしたとき「家で何をしたいですか?」と聞かれましたが、そこから完成までの日々は、自分たちの潜在的な思いを具体的な形にしていく非常に刺激的な毎日で、家づくりを丸ごと楽しむことができました。本当に感謝しています。

このたびは、取材へのご協力ありがとうございました。

フルオーダー「ばんでんのいえ」